コロナ禍ではなかなか外出しづらい、あるいはペットサロンが閉まっているなどの理由で愛犬をおうちで洗う機会が増えている人が多いそうです。しかし慣れていないので、どうすれば良いか何に気をつけるべきか分からないという声が多く聞かれます。今回はそんな声に応えるべく、愛犬の被毛ケアのポイントをいくつかご紹介したいと思います。
暴れて、噛まれて、自分も洗い場もビショビショで毛だらけになるなど、わんこのシャンプーはとにかく一筋縄ではいきません。大小に関わらず大変な作業ですが、特に大型犬は力があるので、じっとしてくれないと抑えるだけで体力を消耗してしまいます。また、身体が大きい分時間がかかる上に、隅々まで洗うのにかがんだり伸ばしたりと体の節々にとても負担がかかります。暴れることはなくても、シャンプーとその後片付けだけで1日分の体力を消耗してしまうことはよくあるのではないでしょうか。ゴールデンレトリーバーのようにロングヘアーのわんこであれば尚更です。もちろんラブラドールのようにショートだから楽というわけではありませんが・・・。
ではなぜおうちで愛犬を洗うべきなのか。その大きなメリットの一つは、愛犬の状態をしっかり知ることができることです。シャンプーの過程で肥満度、毛や皮膚の状態、ノミ・ダニ・シラミの有無など、最新の健康状態を自分で確認できます。ちなみにウエスト周りのお肉を3センチ以上つまめる場合は少しダイエットが必要かもしれません。もうひとつの利点としては、愛犬とコミュニケーションが取れることです。不安にさせないという意味も込めてシャンプー中は楽しそうに沢山話しかけてあげます。暴れても怒ったりイライラしたりするのはやめましょう。そうすることでシャンプー中の不安が解消され、お互いにリラックスした状態が維持できます。シャンプーを飼い主とのコミュニケーションの場であると判断してくれると、愛犬のストレスコントロールができるので結果的に健康へと繋がります。
それでは、実際のシャンプーについてご説明します。まずは、シャンプーの流れを8工程に分けてみました。工程をもっと増やすことも減らすこともできますが、愛犬の健康とコミュニケーションのためにおうちで定期的にシャンプーするということを考えると、現実的に取り組めて続けられる最低限と思います。
何故?と思うかもしれませんが、意外に大事なことです。シャンプーを愛犬とのコミュニケーションの場と捉えた場合、これから楽しいことを始めるという気持ちを愛犬と共有する必要があります。大変で面倒くさいという気持ちで取り組んでしまうと、それは犬にも伝わり、嫌がってしまいます。
洗う前にまずはブラッシングから始めましょう。ブラッシングは不要な毛や毛に絡まった大きなゴミなどを取り除くことができます。この際にできるだけ皮膚の状態を確認してください。もし皮膚に異常が見つかった場合、使用するシャンプーや洗い方は刺激の少ないものをオススメします。
ブラッシングの後はたっぷりぬるま湯をかけて皮膚と毛を濡らしまします。ここでは、ブラッシングで取れなかった毛や大きなゴミを洗い流し、皮脂をやわらかくします。水の温度は人肌以下くらいが良いでしょう。人が使うような熱さにしてはいけません。また、あまり冷たいと単純に寒いですし、水の温度で皮脂をやわらかくするという目的が果たせなくなります。
十分に濡らした毛と皮膚にシャンプーを塗布します。頭の方から身体の下へ、毛並みに沿って洗います。ミニットのシャンプーであれば、粘り気が少ないので毛の奥まで簡単に浸透します。しっかり洗浄できるので、ゴシゴシこすらず、毛並みに沿って手のひら全体でマッサージするように揉み込んでください。多少泡立たせるとより効果的に汚れが取れます。目、鼻、耳にシャンプーや水が入らないように注意してください。
全身をシャンプーできたら、これをしっかり洗い流します。この時少しでもシャンプーが残っていると、乾燥後に痒みなどの原因になるので、時間をかけしっかりと洗い流してください。
シャンプーのあとは肌や毛から水分が奪われ刺激に弱い状態です。そのためコンディショナーによって状態を整え保湿してあげます。ミニットのコンディショナーであれば、ぬるま湯とコンディショナーを10:1~5:1程度の割合(お好みや毛量によって調整してください)で希釈して全身に馴染ませます。顔の周りは避けてください。
なおコンディショナー1プッシュあたり凡そ3mlになります。
シャンプー後の時と同様、すすぎ忘れがないようにしっかり洗い流します。
最後に乾燥です。マイクロファイバーのような吸水性の高いタオルなどでくるんであげて、できる限り擦らず水分を取ってあげます。このときゴシゴシと強くこすって拭かないように注意しましょう。大方の水分をタオルで取ったあとはドライヤーを使用します。早く乾かそうと熱い風をあててしまうと皮膚に悪影響を与えるおそれがあるので、できる限り低い温度設定で乾かしましょう。乾燥後はブラッシングで毛並みを整えてあげます。
人の入浴と同じようにわんこのシャンプーやケアは非常に奥が深いです。人のように入浴を行うこともありますし、汚れ具合や薬用シャンプーの必要性によって2度洗いする場合もあります。他にも耳の洗浄、肛門絞り、外用剤の塗布など、ケアの種類や方法は沢山あります。どれをとっても愛犬のためですが、何をするのもまずは楽しむことが重要です。最初は無理に洗わなくても大丈夫です。愛犬に一緒に楽しい時間を過ごしているという意識を持たせることで暴れたり噛んだりすることを防ぎ、素早くストレスフリーに愛犬を清潔に保つことができます。
ぜひおうちでの愛犬のシャンプーにトライしてみてください!